大判例

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東京地方裁判所 昭和39年(ワ)4626号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕……囲繞地通行権の範囲内容は単に公道へ出るために歩行できる幅員だけでは足らず、その囲繞地、袋地の利用を能うかぎり全うさせるためには、周辺の土地を含めた従前よりの土地利用状況、利用の目的、必要性、建築基準法等の行政法規など住民の福祉と公益からみた袋地および囲繞地利用に対する社会的評価などを綜合考慮して決定されなければならない。そこで右のような観点から前記事実を基にして原告らの囲繞地通行権の範囲、場所を考えると、前記本件土地の両側にある空地部分だけでは原告らの通行地としては不充分であり、原告伊藤の土地北部にある前記西方への私道も、公道へ遠く、著しく不便であるので、原告らに通行を認めるに最も当事者の損失の少くかつ合理的な通行の場所方法は本件土地について被告らだけでなく原告らの通行をも認めること、即ち本件土地を、その両側にある空地部分と共に原被告らの共同通行地とするのが最も妥当であると思料される。従つて、原告らは特段の事情がないかぎり本件土地につき囲繞地通行権を有するといわねばならない。

しかるに、被告らは、本件土地を被告らが買受ける際には、本件土地に対する一般通路として利用すべき負担を廃止することについて小松、原告伊藤、同行木、訴外椎名から了解がとりつけてあり、その申し合せが成立していたと主張する。

もとより囲繞地通行権の範囲、方法場所は前述の諸事情を考慮して決定されるものであつてみれば、右囲繞地および袋地に関する諸事情が変更されれば、既存の囲繞地通行権の場所、方法について縮減等の変更をもたらすものと解すべきであるが、民法第二一〇条以下において相隣関係地の通行利用負担を定める相隣関係地の所有権の利用を能うかぎり全からしめんとする社会公益的見地に基き、その所有権の内容を最低限互助互譲させ、強制的に所有権の利用関係を調整するものであるからには、一面において強行性を有し、新しい公道、私道の開設、袋地の合筆等による袋地と公道の接地などの客観的事情ならびに相隣関係者における従前の通行路に対する必要性、目的の変更、喪失等の主観的事情が発生しなければ、単に相隣関係者において合意等により囲繞地通行権を消滅させたり、放棄したりしたとしても、その効力は生じないものと解する。しかして被告らの本件土地に対する通路利用負担廃止の合意の主張は、右囲繞地通行権の方法場所に縮減をきたすべき客観的主観的事情の変化について何ら主張立証がないから、右合意があつたとしても、本件土地に対する原告らの囲繞地通行の必要性に何らの消長をきたさない。(長利正己 舟本信光 鬼頭季郎)

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